新潟であるために・十章
序章
第一章
第二章
第三章
第四章
第五章
第六章
第七章
第八章
第九章
第十章
第九章 押し寄せる新潟平野の危機
01:地盤沈下
何百年にわたって農民が「どぶね」で造り上げてきた“潟の大地”。その大地が沈みつつある。『新潟平野の地盤沈下*』(平成8年)によれば、1m以上の大きな地盤沈下が広範囲にわたって生じている。沈下2m以上の地域もある。
この人工的平野がこれ以上沈下したらどうなるか。“潟”は今も生きているのである。
02:地海面の上昇
危機は地盤沈下だけでなく、海からも来る。地球の温暖化(下グラフ)により、南極や北極の氷が解け、海面は上昇することがほぼ確実視されている。新潟でも、昔と比べると冬の積雪量は明らかに減少してきている。再び寛治図のようにならないと誰が断言できようか。

・全球平均地上気温の経年変化(1951〜1980年の平均値からの偏差を示す) [Hansen 1988]


03:地農村社会の変貌
新潟市の人口は、30年間に40%も増加した一方で、農家人口は57%減少しており、農業施設の維持管理は農家にとって限りなく重くなっている。また、農業用水路は集落の生活水路も兼ねていたため、その管理は昔から集落単位で行われてきたが、水田の宅地化等により非農家が増えたため、家庭排水の混入による水質の悪化に加え、集落単位の水路管理にも支障をきたしている。

■新潟市の総人口と農家人口


04:システムの老朽化
下表でも明らかなように、新潟平野の排水を人工的に担っている主要なポンプ施設の運転期間は、事業計画上の耐用年数20年を超えているものが多い。これらの施設の改修は、ポンプの運転が停止できないため(即座に周辺は水につかる)、技術と費用の点で大きな課題をかかえている。

■主な排水施設と経過年数(97年時点)
施 設 名 運転開始
年度
経過年数 排水量
(秒あたり)
新井郷川排水機場 1995 2 110m3/s
新松排水機場 1967 30 60m3/s
新川右岸排水機場 1953 44 32m3/s
七穂排水機場 1987 10 46m3/s
新川河口排水機場 1971 26 240m3/s
白根排水機場 1973 24 38m3/s
中部排水機場 1976 21 17m3/s
大秋排水機場 1979 18 69m3/s
覚路津排水機場 1982 15 48m3/s
刈田川右岸排水機場 1976 21 78m3/s


危機は、潟としての大地、海、そして私たちの社会と3方向からジワジワと押し寄せているのである。

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