06:「もどす」

琵琶湖


▲宗宮功編著『琵琶湖』(技報堂出版)より転載
(原図:三橋時雄.1967)


「逆水かんがい」とは、日本一大きい湖「琵琶湖」の水を揚水機によって汲み上げ、水源とする取水の方法です。その水は、田畑を潤したあとにまた琵琶湖へもどります。いわば、水のリサイクルをおこなっていることになるのです。
琵琶湖周辺には「逆水かんがい」が行われている地域がいくつかありますが、中でも大規模なのは、琵琶湖の北側にある天然の湖「余呉湖」を貯水池として利用しているものです。ポンプによって琵琶湖の水を標高差50mの余呉湖に汲み上げ、導水路により周辺の各河川に分配し、下流の水田約5,000haを潤しています(右上写真参照)。
こうすることにより、琵琶湖の下流にあたる淀川の水量にはなんら影響を与えない、地域循環型の水利用となっているのです。
この琵琶湖における「逆水かんがい」を総計すると、その流量は80m3/sを越えます。計算上では、関東平野に匹敵する膨大な量の農業用水が、琵琶湖でリサイクルされていることになります。
琵琶湖の周辺では、その取水の難しさから、この逆水かんがいのほかにも、地下水、ため池、河川水とさまざまな取水方式が混在している地域があります。右下図は、琵琶湖の東南、野洲川下流域におけるかんがいシステムです。複数のかんがい方法が複雑に入り組んでいることがわかります。


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