07:「むすぶ」

香川用水


▲資料:鈴木光剛編
『水利システムと水管理』より

この横堰で用水を結ぶアイデアは、戦後の水利事業でも生かされています。前述した香川県讃岐平野は、全国でも有数のため池過密地帯であり、その数は約16,000ヶ所。各ため池は、上流から、親池、子池、孫池などと呼ばれる階層構造によってつながっています。また、各水田への配水時間を、線香の燃える長さで決めるという厳しさ。この水利慣行の複雑さと厳格さにより、独特の水社会を生み出しました。
この宿命的な水不足を抜本的に解決するため、吉野川総合開発案の中で、香川用水の建設が決まりました。しかし、緊密かつ複雑なため池のネットワークと、細い筋のように縦に流れる無数の川を、矛盾なくむすびつけて水を流さなければなりません。数多くの技術者の努力が結集された結果、一本の太い用水でちょうど魚の背骨のようにそれらを横にむすぶことになりました。その水路は、幹線支線をあわせて105kmに達しています。
このように、日本の農村では、水路と水路、ため池、排水路などと縦横無尽にむすびつけることにより、複雑かつ緻密な水システムが形成されてきたのです。




拾ヶ堰
香川用水
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